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Landscape - エンジニアのメモ 2006-05-30

至上命題ではなく至上命令


* 至上命題ではなく至上命令

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「至上命題」は誤用。正しくは「至上命令」。ただ、「至上命題」でも間違いとは言い切れない。

- エンジニアの至上命令

仕事場で配られた資料の中に、以下の一文があった。

開発依頼者の要求を正しくシステムに反映させるということは、どのシステムにおいても、エンジニアの至上命令と考えます。

上記の文を読んでふと思った。「至上命令」って言葉はあるの? 最優先の課題ということを表現したいならば、「至上命題」なのでは? そう思って、独特の表現で有名な金田一京助の「新明解国語辞典 第四版」を引くと、至上命題という言葉が載っていない。

一方、至上命令は「至上」のところに載っている。

しじょう 【至上】
他のすべてのものの上位に位置する(ものと考える)こと。「―の喜び・芸術―主義」

【―命令】
そのときどうしても従わなければならない命令。「操業の安定は企業の―だ」

もしかして、至上命題という言葉は存在しないの? ただ、「命題」の二つめの意味として「課題」という意味は載っている。

【命題】
課せられた・(自らに課した) 問題。「―の解明に当たる」

両方組み合わせて考えると、「至上命題」でも意味は通る。でも、どうなんだろう? もしかして「至上命題」は間違いなの? 一応ウェブを検索してみると、「至上命題」は「至上命令」の誤用と説明しているサイトがいくつかあった。そうなんだ。知らなかった。たぶん私も間違って使ったことがあるだろうなあ。

- 至上命題と至上命令の使い分け

個人的には、「至上命題」だと自発的な感じが強いし、問題の本質に迫っている印象を受ける。一方、「至上命令」だと、単に命令されてやらされているという意味合いが「至上命題」よりも強い感じがする。それぞれ別の意味の語というとらえ方だ。

「至上命題」が広く誤用されている言葉ならばそのうち辞書に載るだろう。独壇場 (どくだんじょう) と独擅場 (どくせんじょう) みたいにね。あ、でも読み方の変化は比較的辞書に載りやすい気がするけど、意味の変化は載りにくいんだよなあ。たとえば「確信犯」。故意にやっている犯罪という意味は載っていない。あとは、「姑息」。一時しのぎという本来の意味は載っているが、卑怯という意味は載っていない。

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斎藤 宏明。エンジニアです。宇都宮市に住んでいます。
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