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Landscape - エンジニアのメモ 2003-12-01

ftp + tar + cron で自動ネットワーク・バックアップ


* ftp + tar + cron で自動ネットワーク・バックアップ

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ftp コマンドには、標準入力から読ませたデータに好きなファイル名を付けてアップロードする機能がある。これを利用してネットワークバックアップスクリプトを作成する。スクリプトを毎日 cron で回せば、リモートマシンに毎日バックアップを自動で ftp アップロードすることができる。

- ftp + tar によるバックアップの長所と短所

ftp + tar を使ったバックアップの長所は、どちらも unix システムなら標準でインストールされているコマンドなので、ツールのインストールが不要で設定が超簡単なことと、ネットワーク経由のバックアップなので外部マシンにデータを持っていくことが楽なことだ。短所は、ネットワーク経由のバックアップなので帯域が細い環境では使いにくいかもしれないこと、ftp アカウントが必要なこと、暗号化されないこと、ftp アカウントをシェルスクリプト中に埋め込まなければならないことだろうか。

暗号化については、tar の出力を gpg に通したり、scp や sftp を利用すれば解決できる。2004-03-19 に「ftp + tar + gpgで暗号化ネットワーク・バックアップ」という記事を書いた。 ftp + tar + gpg の利用について解説とサンプルスクリプトがある。

- バックアップで一番大切なこと

バックアップで一番大切なことは、バックアップすることだ。手間がかかるからといってやらないでいる時に限ってトラブルがやってくる。だから、とにかくまず手間がかからなくてシンプルな方法を考えよう。rsync や samba を使ったり、pdumpfs や afio や ArcServe などのバックアップツールを使った方法もある。tar + ftp よりも他の方法を使った方が楽にバックアップシステムを構築できるなら、迷わず楽な方を使った方が良い。とにかくまずバックアップすることが大切だ。

- ftp にコマンドの出力結果をアップロードさせる

冒頭にも書いたが、ftp コマンドには標準入力の内容をアップロードする機能がある。これを利用してバックアップスクリプトを作成する。以下、man ページから引用。

Manpage of FTP
http://www.linux.or.jp/JM/html/netkit/man1/ftp.1.html
ファイル名の変換
ftp の引き数として指定されたファイル名は、以下の規則に従って変更される。

1. ファイル名として `- ' が指定された場合、(読み込みとして) stdin が、(書き出しとして) stdout が使われる。
2. ファイル名の最初の文字が `|' の場合、残りの引き数はシェルコマンドとして解釈される。そして、 ftp は与えられた引き数を popen(3) に渡してシェルを fork し、stdout を読み込み、stdin に書き出す。シェルコマンドがスペースを含む場合、 " ls -lt" のように引き数をクォートしなければならない。この機構の特に役立つ例としては、dir more がある。

- バックアップスクリプトの例

tar から標準出力に出力した内容を ftp が標準入力で受けてアップロードする。ファイル名に曜日を使っているので、7世代までバックアップが残る。ファイル名に日付を使えば、一か月前まで残せる。
#!/bin/sh

# log setting
LOGDIR=/var/log
LOG=$LOGDIR/ftpbackup.log
LOG_TAR=$LOGDIR/ftpbackup_tar.log

echo `date` backup start >>$LOG
echo `date` backup start >>$LOG_TAR

# ftp and tar backup start
ftp -i -v -n 10.3.31.89 << END >>$LOG
user USER_ID PASSWORD
cd /d/backup
bin
put |"tar -C / -zvcf - etc home --exclude=music --exclude=backup 2>>$LOG_TAR" "`hostname`_`date +%a`.tar.gz"
quit
END

echo `date` backup complete >>$LOG_TAR
echo `date` backup complete >>$LOG

- 解説

以下ではコマンドのオプションや使われ方を解説する。細かく書いたので長い。必要なところだけ読んでほしい。

ftp -i -v -n 10.3.31.89 << END >>$LOG
-i オプションはバッチ処理のために、-v はログに詳細を記録するために、-n は .netrc ファイルを使用せずに ftp サーバへのログインに使用するパスワードを指定するためにここで指定している。10.3.31.89 は今回使用した ftp サーバ名。

-i
複数のファイルの転送中に対話 (interactive) プロンプトを出さないようにする。

-v
詳細表示 (verbose) オプションを使うと、 ftp はデータ転送の結果だけでなく、リモートサーバからの全てのレスポンスを表示する。

-n
ftp が最初の接続で 自動ログイン (auto-login) しようとするのを抑制する。自動ログインが可能な場合、 ftp はユーザーのホームディレクトリにある .netrc ファイル ( netrc(5) を参照) でリモートマシンのアカウントが記述されているエントリをチェックする。エントリがない場合、 ftp はリモートマシンのログイン名 (デフォルトではローカルマシンでログイン名) を要求するプロンプトを出す。必要ならば、ログインに使うパスワードとアカウントを要求するプロンプトを出す。

<< END は、次に END が出てくるまでに記述された内容を、ftp コマンドに渡すためのリダイレクト。>>$LOG は ftp コマンドの結果を $LOG に追記する。

user USER_ID PASSWORD
cd /d/backup
bin
USER_ID に ftp サーバにログインするための ID を指定、PASSWORD にパスワードを指定。例を挙げておこう。ID が operator で パスワードが backup_command なら、
user operator backup_command
とすればよい。その後はログイン後に実行させるコマンドを列記する。私が使っているサーバではバックアップファイルをアップロードするディレクトリが /d/backup なので、cd コマンドでディレクトリを移動。その後転送モードをバイナリモードに明示的に変更。

put で始まる行がこのスクリプトの要となる部分。
put |"tar -C / -zvcf - etc home --exclude=music --exclude=backup 2>>$LOG_TAR" "`hostname`_`date +%a`.tar.gz"
まず put コマンドでファイルをアップロードする。ただし、put の第一引数は | で始まっているので、アップロードする中身はファイルではなく "" で囲まれた tar コマンドが出力したものとなる。"" で囲まれた部分はパイプを使ったコマンドラインは記述できないようだ。パイプを使った複雑なコマンドラインを書きたい場合は、シェルスクリプトにすればいい。

tar の部分を解説しよう。
"tar -C / -zvcf - etc home --exclude=music --exclude=backup 2>>$LOG_TAR"
まず -C で tar を実行するディレクトリを / に移動し、その中の etc ディレクトリと home ディレクトリをバックアップ対象としている。ただし、music または backup という名のファイルやディレクトリはバックアップ対象から除外する。-z が指定されているのでこれらを gzip で圧縮し、-f - が指定されているので圧縮結果を標準出力に出力している。2>>$LOG_TAR の部分は、tar コマンドの標準エラー出力への出力結果を $LOG_TAR に追記している。tar は標準エラー出力に詳細を出力するので、それを受けてログに書いているというわけだ。

以下の部分は put コマンドの第2引数として扱われる。
"`hostname`_`date +%a`.tar.gz"
put は第2引数でアップロード先にどんなファイル名で格納するかを指定できる。ここでは、 hostname コマンドの出力結果と date +%a コマンドの出力結果を利用している。date +%a は現在の曜日を返す。よって、マシン名が sonic で 今日が火曜日だとすると、最終的なファイル名は sonic_Tue.tar.gz となる。ehco で表示させるとわかりやすいかな。
[hiroaki@sonic ~]$ echo `hostname`_`date +%a`.tar.gz
sonic_Tue.tar.gz


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斎藤 宏明。エンジニアです。宇都宮市に住んでいます。
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