「独眼竜正宗」後半。合戦シーンは鳴りを潜め、ほぼ室内の会話劇で終始する。これはこの作品に限らず大河の後半のお約束。ただ、勝新太郎の秀吉、津川雅彦の家康と当時の演技陣が見事で飽きさせない。野心がありつつも徐々に伊達家存続にシフトしていく政宗の葛藤やそれでも失わない誇り。家臣との深い絆。妻や娘との愛。いずれも見応えがあった。
特に、老成した終盤の政宗を当時27歳か28歳頃の渡辺さんが見事に演じている。最終回の演技は本当に老人の俳優が演じているようにすら見える。終幕も淡々としていて変に飾り立てず、潔い。大河ドラマの傑作のひとつと思う。